絶頂★雄テオパシー








どんなお話?
『絶頂★雄テオパシー』はサークル:ぷんぷんやがリリースするBL同人漫画です。
終電もとうに過ぎた深夜の繁華街。徹夜続きの案件をやっと片づけて、頭も体も空っぽのまま歩いていた主人公のぽんちゃんは、客引きに声をかけられ、なんとなくマッサージ店の扉を開けてしまいます。ふかふかの施術台に身を預けた瞬間、張りつめていたものがふっとほどけていく。この「抵抗する気力すら残っていない」入り口が、妙に説得力あるんです。そりゃ断れないよ、と納得してしまいました。
くろが気になったのは、距離の縮まり方の段階の踏み方です。最初は施術師の手が疲れた体をほぐしているだけ。それがいつの間にか呼吸が変わって、声が漏れて、触れる側と触れられる側の境目が曖昧になっていきます。ぽんちゃんは抗わない。力が抜けるぶん、素直に預けてしまう。だから強引さより「ほどかれていく」心地よさが先に立つんですよね。年下のなぎくんと、落ち着いた手つきのにいの。2人体制だと、片方が支えて片方が深く触れるような、役割の違う優しさが重なっていきます。
体の描写が丁寧なので、気持ちよさがそのまま安心感に変わっていくのも印象的でした。シャワーのあとの清潔でほかほかした肌、筋肉に程よく脂がのった体、体毛まで含めたぽんちゃんの体つき。レビューでも触れられていましたが、疲れを取るという本来の目的がちゃんと果たされているので、甘さの中に不思議と癒やしが残ります。そして、2人の施術師がぽんちゃんの反応を見ながら少しずつ進めていく、あの間の取り方。くろはここがいちばん好きでした。急がないって、それだけで優しいです。
倫理観はいったん脇に置いて読む作品ですが、置いたぶんだけ、ぽんちゃんの無防備な表情がまっすぐ届きます。お疲れの彼が心の底から気持ちよさそうにしている姿に、よかったね、と思わず頬がゆるみました。この人、きっとまた通うんだろうな。そう想像した時点で、彼のその後まで愛おしくなっています。
こんな人におすすめ
- 仕事で心も体もすり減った夜に、誰かにまるごと預けてしまう展開に癒やされたい方
- 強引に迫られるより、力が抜けてほどかれていく流れのほうがときめく方
- 年下の青年と落ち着いた施術師、タイプの違う2人から丁寧に扱われる関係性が好きな方
- 理想化された細身の美形より、疲れも体温も感じる30代のおじさんの体つきに惹かれる方
- 読み終わったあと、ほこほこして気持ちよく眠れそうなリラックス系の作品を探している方
管理人のひとこと
くろ42ページと短めなのに、駆け足感がまったくないのが意外でした。前半はゆったり進んで、後半に向けてじわじわ密度が上がっていく。この緩急が心地よくて、気づいたら最後のページでした。ぽんちゃんの表情が崩れていく過程もコマごとに少しずつ違っていて、ここ、地味にすごいです。
絵柄は体の厚みや体毛の描き込みに色気があります。おぢさん受けが好きな人には嬉しい方向ですね。2人の施術師が終始落ち着いているところも、くろは好みでした。ただ、2本挿しありのガッツリ系なので、そこは好みが分かれそうです。疲れた夜に、肩の力がふっと抜ける感じで読めました。